5回にわたってお届けしている「フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ」。
第3回目と4回目は、花器のタイプ別に生け方のコツを教わります。
第3回目の今日は、比較的簡単に生けられる【小さめタイプ】と【背が高いタイプ】の花器。石井さんから教わるコツを踏まえてお花を生けるだけで、家族やお客さまに「どこかでならってきたの?」なんて褒められちゃいそうです。
■ 小さめタイプ
お花初心者さんも気軽に生けられるのは、小さめタイプの花器。石井さんから教わるポイントを押さえるだけで、少ない花材でもぐっとこなれてまとまります。
【1】
<今回使用した花材>
・ラナンキュラス エムクリーム(クリーム色)
・ラナンキュラス ポムドール(緑色)
・バリエガタ (丸い葉もの)
・ミスカンサス (長細い葉もの)
<今回使用した花器>
・
リューズガラス ブロードライン フラワーベース ナロウ ラウンド Sサイズ
【2】
花器にお花をいきなり生けても固定しにくいもの。最初に枝分かれした葉ものを放射線状に生けるだけで、葉ものが枠組みとなってお花が生けやすくなりますよ。
【3】
次は大きなお花から生けていきます。
石井さん
「まずは大きなお花を配置して、次に中くらいのサイズのお花を生け、最後に小さなお花や葉を加えていくイメージで。基本的にこういった段階を踏んで生けていくと、お花のバランスが取りやすいですよ。」
【4】
お花を生けていくときには多少でも高低差をつけてあげること。そうすることで、大自然の景色の中で見る成長の過程の異なる植物たちのリズム感を小さな花器の中で表現することができます。
<石井さんのプチテクニック> アレンジが少し物足りなく感じたら・・・
ひと通りの花材を生けた後に、石井さんが見せてくれたとっておきのプチテクニック。
ミスカンサスというまっすぐで長細い葉ものを指にグルグルと巻いて、体温で少し温めてあげるとこの通り。まるでコテを当てたかのように簡単にクルクルっと丸まります。
石井さん
「何か物足りなく感じた時は、違ったタイプの葉ものを入れてあげると表情が豊かになります。このテクニックは簡単にできるのにも関わらず、アレンジの良いアクセントになって、より上級者らしい見え方に仕上がりますよ。」
■ 小さめタイプ(番外編)
小さめでありながら優美な曲線を持つ個性的なイッタラの花器は、実はお花も固定しやすくお花初心者さんにも扱いやすいもの。生けるお花も選ばないので、気軽に生けるにはぴったりの花器です。
【1】
<今回使用した花材>
・ヒヤシンス(藤色)
・ビバーナム(黄緑色)
<今回使用した花器>
・
iittala(イッタラ) Alvar Aalto フラワーベース 95mm
【2】
フォルムが特徴的な花器は、限られた品種のお花だけでまとめるとその個性が引き立ちます。花器のフォルムを生かした最終形をイメージして、お花を生け始めましょう。
【3】
花器に逆らわずに、お花を生けていきます。
石井さん
「くちに花首をのせていくような感じで生けると上手に生けられますよ。」
【4】
花器のフォルムが際立つ、まるでオブジェのようなアレンジメントの出来上がり。
■ 背の高いタイプ
背が高く、横から見て直線的な花器には、すらっとしたお花が良く似合います。少し個性があるお花も、受け止める度量のある花器です。
【1】
<今回使用した花材>
・カラー(ピカソ)
・グレープアイビー
<今回使用した花器>
・
iittala(イッタラ) Alvar Aalto フラワーベース 201mm
【2】
カラーは長さを揃えずに生けていきます。太陽に向かって伸びてる様子をイメージすると上手に生けられますよ。
【3】
葉ものまで長いまま生けてしまうと、花器のフォルムの美しさを消してしまいがち。すらっとしたお花を生けた後は、短くした色の濃い葉ものでその足元を締めて。
【4】
足元を葉もので締めることによって、カラーと花器の伸びやかさが生きたアレンジが仕上がります。
■ 背の高いタイプ(番外編)
同じ花器であっても、横から見るフォルムと、上から見るフォルムはまた違うもの。時々視点を変えてみることで、お花や花器の新たな魅力を引き出すヒントにつながります。
石井さん
「横から見れば直線的だったこの花器も、上から見るとまるでスイートピーみたい。そんなちょっとしたところから、お花を生けるアイデアが生まれますよ。」
<今回使用した花材>
・スイートピー
<今回使用した花器>
・
iittala(イッタラ) Alvar Aalto フラワーベース 201mm
石井さんが生けたのは、たくさんのスイートピーたち。乳白色の花器に、トーンを合わせた優しい色合いのスイートピーたちが柔らかく馴染みます。
<石井さんのプチテクニック>お花をまとめる時は・・・
お花をまとめる時に役立つ石井さんのプチテクニック。
石井さん
「お花をまとめる時には、茎を放射線状に組んでいくとお花が広がります。その時、お花は外向きに。内向きにするとお花同士がぶつかってしまいます。」
どんな形の花器でも、押さえるべきいくつかのポイントを知っていればより生き生きと生けられるお花たち。
石井さんが教えてくれるその秘訣は、毎日の暮らしに彩りをもたらします。
毎日を豊かなものにする、花のある暮らし。
次回は「口の狭い花器」と「大きめな花器」の生け方のコツについてご紹介します。
= 写真:中島・宮城 文:宮城 =
< プロフィール >
石井 千花(いしい ちか)さん
日比谷花壇本社 シニアデザイナー。学生時代をデンマークで過ごし、大自然と人の関わり方に大きな影響を受けて帰国後フラワーデザイナーに。“自然と関わって生きる”ライフスタイルを貫きながら、多彩な活動を展開されています。
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・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・1】基本のお手入れ
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【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・2】お花ってどう組み合わせればいいの?
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【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・3】花器のタイプ別 飾り方のコツ
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【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・4】花器のタイプ別 飾り方のコツ
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