テーブルの上や、窓辺にちょこんとあるだけで、毎日の暮らしが潤いのあるものになる小さな幸せ。
花のある暮らしは、忙しく過ぎ去っていく日常の中で立ち止まる時間の大切さを教えてくれます。





日比谷花壇のフラワーデザイナーである石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ。第2回目である今日は、お花の組み合わせについて教わります。

自分で選び取るスタイルのお花屋さんが増えてきた中で、思うようにできなくて戸惑ってしまうお花の組み合わせ方。でも、石井さんから教わるちょっとしたコツを踏まえていれば大丈夫。お花との距離もぐっと縮まって、店頭であれこれお花を選ぶのがきっと楽しくなりますよ。

■　お花ってどう組み合わせればいいの？

ある程度の大きさのブーケを生けたくてもお花屋さんの店頭でその組み合わせに困ってしまって、結局いつも活躍するのは一輪挿し・・・ということはありませんか？

組み合わせのコツを知っていれば、きっともっと気軽に愉しめる花のある暮らし。今日はいつもたくさんのお花のアレンジをされているフラワーデザイナー・石井千花さんに、私たちが今すぐ真似できるようなちょっとしたコツを教えていただきました。


＜1＞色のトーンを合わせること




石井さん
「異なる色味のお花でも、ビビッドなトーンやパステルトーンなど、そのトーンの中でお花を揃えるとしっくりきます。」

上の写真は石井さんが選んだヒヤシンス（右・藤色）とビバーナム（左・黄緑）。
ヒヤシンスの中にビバーナムと同じ色が存在し、その藤色の優しいトーンがビバーナムの柔らかな黄緑色のトーンによく溶け込みます。





一見まったく異なるようにも見えるリューココリーネ（左・紫）とポンポンスカビオサ（右・ピンク）。よく見るとポンポンスカビオサには様々なトーンの色が交りあっていて、その強いピンクの花びらがリューココリーネのトーンに調和しています。





その組み合わせのコツはお花同士のものだけでなく、お花と葉ものの組み合わせにも。
カラーの中心のこっくり深い紫色のトーンに、深いダークグリーン色をしたグレープアイビーの葉や茎に時折さす紫色のトーンがそっと馴染むコーディネートです。

そしてこちらは番外編。
乳白色が美しい花器に合わせて石井さんが選んだのは、やはり同じトーンの柔らかな色味のスイトピー。ご自宅の花器が色を持つものであれば、そのトーンに合わせてお花を選んであげると上手に生けられますよ。






＜2＞増やす時には、お花でなく葉ものを！




石井さん
「チューリップに、マーガレットに・・・とアレンジを考える時はついついお花を増やしがち。でもそんな時は、お花ではなく葉ものを増やしましょう。その方がお花の個性を引き立てて、今っぽいアレンジに仕上がります。」

ブーケの中に個性がたつお花がいくつも存在すると、個性がぶつかり合ってまとめにくくなることも。そんな時には葉ものを増やせば、お花と上手に調和してナチュラルな雰囲気にまとまります。

また葉ものが多い方が葉に絡ませるようにしてお花を生けられるので、お花が固定しやすく生けやすいというメリットも。





ビバーナム（写真上・黄緑色）のような緑系の色を持つお花は、葉ものの代わりとしても大活躍。他のお花を上手に引き立てますよ。





きっと、もっと愉しめる花のある暮らし。

石井さんから教わったお花の組み合わせのコツは、今すぐ真似できそうなことばかりです。今日の帰り道はお花屋さんに立ち寄って、思いのままに自宅に飾るお花を選んでみませんか？



＝　写真：中島・宮城　文：宮城　＝

＜　プロフィール　＞

石井　千花（いしい　ちか）さん
日比谷花壇本社 シニアデザイナー。学生時代をデンマークで過ごし、大自然と人の関わり方に大きな影響を受けて帰国後フラワーデザイナーに。“自然と関わって生きる”ライフスタイルを貫きながら、多彩な活動を展開されています。





【お花特集ページはこちらから】






【コラム連載特集】フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ

・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・1】基本のお手入れ

・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・2】お花ってどう組み合わせればいいの？

・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・3】花器のタイプ別　飾り方のコツ

・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・4】花器のタイプ別　飾り方のコツ

・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・応用編】スタッフの自宅でも始まる、花のある暮らし