毎日の生活に潤いをもたらす、花のある暮らし。
お花がちょっとそこにあるだけで空間が瑞々しく仕上がり、なんでもないいつもの生活に彩りが加わります。
日比谷花壇のフラワーデザイナーである石井千花さんに聞く、「お花のお手入れと飾り方のコツ」。第1回目の今日は、お花を長持ちさせる基本のお手入れ方法についてお伺いします。
少しの心がけでずいぶんと長持ちして私たちを楽しませてくれるお花たち。この春は、こんな花のある暮らしで新しい生活を楽しんでみませんか?
■ フラワーデザイナー 石井千花さんのこと
「1輪でもいい。花のある毎日をおくることができれば、この子はきっと幸せな子になる。」
そうお祖母さまから名付けられた、石井さんの「千花」というお名前。1輪が幾千となるようにとのお祖母さまの想いがじんわりと温かい、お花の仕事に携わる石井さんに相応しいお名前です。
学生時代をデンマークで過ごしたことから、生活における大自然との関わり方に大きな影響を受けたという石井さん。帰国後はフラワーデザイナーとして様々な仕事に携わり、そのお名前のごとく、人々の一生にも百の花・千の花を咲かせるお仕事をされていらっしゃいます。
いつだって花を生けるゆとりを持つ人間であるように。
ちょっぴり共感してしまうそのお祖母さまの願いに思いを馳せて、今日は石井さんからお花を長く楽しむことができる基本的なお手入れのコツを教えていただきましょう。
■ 基本のお手入れ・お花を生ける前に・・・
<1>水について
用意したいのは、花器の7割ほどの水。
ただしガーベラなどの起毛性のある茎を持つものは、起毛に絡んだバクテリアが水を腐らせる原因となることも。しっかりと水揚げさえできていれば、花器に入れる水は少しでいいそうです。
<2>下葉処理
しんなりと元気のない葉っぱは思い切って取ってしまうこと。また、水が腐りやすくなるため、水につかる部分の葉はこの段階ですべて取ってしまいます。
<3>水切り
水の中で茎を切ることによって水の吸い上げが良くなるという「水切り」は、お花の代表的なお手入れ方法のひとつ。
石井さん
「水の中で、茎の断面が斜めになるようにカッターやハサミでカットしてあげましょう。そうすることで茎の水を吸う面積が大きくなりますよ。」
こちらは番外編。
アジサイなどの固い枝ものや桜などの木の枝ものの場合は、ハサミやカッターで断面を斜めにカットした後につまようじやカッターなどで茎の芯の部分にある綿を取り出してあげます。
そうすることで茎の中心に生まれる空洞。このひと手間で、枝ものの水の吸いあげ具合がぐっと変わってくるそうです。
石井さん
「この枝ものの処理は一度やるだけで、持ちが全く違います。固い枝ものをトンカチなどで叩く方法もありますが、潰れた枝が気になることも。ガラスの花器などを使う時にはキレイに処理できるこの方法がおすすめですよ。」
■ 基本のお手入れ・お花を生けた後は?
石井さん
「毎日お水をかえてあげましょう。その時に花器と茎のぬめりを取るのも忘れずに。ぬめりはバクテリアの発生の原因になるので、ここできちんととってしまいます。
そして、2-3日に1回は水切りをして切り口を新しいものにしてあげること。お水だけではなくて、お花の全体の環境を良くしてあげることが大切です。」
ちょっとした心がけで、気持ちにもゆとりが生まれる花のある暮らし。
石井さんが教えてくれたお花を長持ちさせるこんな方法で、ぜひ新しい季節の始まりを楽しんでみてくださいね。
= 写真:中島・宮城 文・宮城 =
< プロフィール >
石井 千花(いしい ちか)さん
日比谷花壇本社 シニアデザイナー。学生時代をデンマークで過ごし、大自然と人の関わり方に大きな影響を受けて帰国後フラワーデザイナーに。“自然と関わって生きる”ライフスタイルを貫きながら、多彩な活動を展開されています。
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・【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・1】基本のお手入れ
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【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・3】花器のタイプ別 飾り方のコツ
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【フラワーデザイナー石井千花さんに聞く、お花のお手入れと飾り方のコツ・4】花器のタイプ別 飾り方のコツ
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