どこかほっこりと温かな暮らしのうつわ、丹窓窯さんの「スリップウェア」が届いています。
化粧土(スリップ)をかけて掻いたり流したりしながらのびのびと模様が描かれるこのうつわの技法は、実は中世の英国の実用のうつわに盛んに用いられたもの。
日本の民藝運動推進者たちに見出されたその「用の美」は、そのうちのひとりである英国人陶芸家バーナード・リーチさんによって丹窓窯さんに伝えられ、今なお多くの人たちに注目されています。
■ 掻いたり、流したり 丹窓窯・市野茂子さんの大らかなスリップウェア
英国人陶芸家バーナード・リーチさんとの交流の中から先代に伝えられたというスリップウェアの技法。当代である市野茂子さんも渡英して、10か月ほどリーチさんに教わったといいます。
独自で配合したという化粧土にドボンと浸したカップを手ろくろにのせて。
土台の化粧土が乾かないうちに、手ろくろを回しながら異なる色の化粧土を使ってスポイトで線を描いていきます。
鳥の羽根の軸や竹を細くしたものなどで、思い思いに引っ掻いて。
その作り方を知っていると「この線はああやって描いたのかしら」なんて楽しくなってしまう丹窓窯さんのスリップウェア。作り手である市野さんの呼吸のリズムが伝わってくるような大らかなうつわです。
■ どこかほっこり 毎日の食卓を温かくするスリップウェア
周りを和ませるようなスリップウェアのその温かな表情は、これからの季節の食卓にぴったり。ぽってりとしたその佇まいは和にも洋にも上手に溶け込んで、テーブルの上に温もりをもたらします。
7寸皿はワンプレートメニューのプレートとして大活躍する大きさ。
陰影を帯びた焦げ茶色(黒)はこっくりとしたその色味が魅力。どんなメニューも受けとめてくれる懐の深いうつわです。
4寸皿は、シンプルなうつわに合わせると食卓にリズムが生まれます。
おうちごはんメニューもぴったり。気取らない和のメニューにも良く似合ううつわです。
長方皿はお魚もぴったりなサイズ感ですが、おかずをちょこちょこのせたりしても◎。スープカップ代わりにした蕎麦猪口とパンをのせたら、朝ごはんプレートの出来上がりです。
その作り方を知れば、ますます好きになってしまうスリップウェア。
冬の食卓を彩るのにピッタリの、親しみがわく1枚です。
= 文・写真:宮城 =
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