IHでは実現できないその理由
「かまどさん」を電気炊飯器にしたいというお誘いは、大手家電メーカーから長谷園にいくつもあったそうです。
ただかまどさんを電気の力で直火と同様に炊くには課題がありました。
世の中の炊飯器はIHジャーが主流ですが、IHは電磁誘導で被加熱部(金属)だけを瞬間的に熱するやり方なので、金属板を土鍋全体に埋め込まなければいけません。
そのやり方では、かまどさん最大の特徴である「呼吸」ができなくなってしまい、かまどさんの炊き上がりは再現できません。
また、炊飯には「はじめちょろちょろ(弱火)、なかぱっぱ(強火)、赤子泣いても蓋とるな(蒸らし)。」
という理想的な温度推移(ゆっくりと温度が上がり、一度上がると冷めにくい)がありますが、この絶妙な火加減やかまどで炊かれている状況の再現が、IHではできませんでした。
たどり着いたのは昔ながらのシーズヒーター
試行錯誤した結果、たどりついた熱源はシーズヒーター(電熱ヒーター)。
IHではなく、あえて古い技術のシーズヒーターを使い、土鍋をすっぽりと炎のように包みこむ直火炊きの熱伝達を再現しました。
鍋底中央に小さなセンサーを埋め込み、安定的に熱供給できる構造。
熱を感知するセンサーが小さいことで、土鍋が一気に熱くなり過ぎぎることがありません。
肉厚な呼吸する土との特性と相まって、じんわりと温まり、かまどの火加減を再現した絶妙の熱循環構造が電気でかなったのです。