きらきらとした光を内包する、どこか優しいスガハラのガラス。
その向こう側にいたのは、日々ガラスと向き合い、そして語らう、たくさんの人たちでした。
■ 職人さんにお話をお伺いしました
スガハラの工房では、数名で構成されたチーム毎にリレー形式でガラスづくりが進められていました。
そんな中、難しい表情でガラスを見つめる職人さんが。
ガラスの道を歩み始めて16年という、その職人の江良さんにお話を伺ってみました。
【江良さん】
今日はガラスがきれいに煮えていないようで、なかなか思い通りにいかないんです。
原料の砂も天然素材なので、溶け具合に差があって。
天気や湿度にも影響を受けやすく、日によってガラスの硬さも異なるんですよ。
職人の体力や集中力も関わるところですね。
16年経験を積まれても今尚「ままならない」とおっしゃる、ガラスという特別な存在。
スガハラの多くの職人さんたちが早朝や休憩時間を使って自主練習を繰り返します。
ちょっぴり面白いのは、それを彼らが「ガラスと遊ぶ」と表現するところ。
まるでなんだか、仲良くなりたいお友達のことを話しているようです。
【江良さん】
ガラスというものは言葉で教えてもらえるものではないんです。
親方の作業を盗み見ては、ガラスと遊ぶ時にそれを試しています。
そうしているうちにガラスが教えてくれるんです。
そのガラスとの遊びの中で「面白いな」というガラスの表情に出会い、それがデザインのきっかけになることだってあるんですよ。
多くの工房と異なり、お客さまと接する機会も多く、職人がデザイナーも兼ねているというスガハラ。
自分が欲しいと思って作って、そして自分で使ってみて初めてお客さまに自信をもっておすすめできると江良さんはおっしゃいます。
「なにか別のことで使えないかな」といつもと異なる視点でものを見てみたり、自分のガラスに盛り付けすることを考えて料理をしたり。
江良さんのものづくりのヒントは、いつもの暮らしの中に落ちているご様子です。
「ガラスが好きで好きで仕方ない!」
言葉の端々からそんな気持ちが伝わってくる江良さんに、ガラスのどこが好きなのかズバリ聞いてみました。
【江良さん】
うまくいかないところ。
もっともっと「できる」と思うし、もっといいものを作りたい。
そしてそれを後輩にもきちんと伝えていきたいと思っています。
そして、もうひとつ。
自分が作りたいと思うものを作って、そしてそれを「使ってみて良かったよ」とお客さまに直接言ってもらえる今の環境も好きなんです。
ガラスと、職人さんと、お客さまと。
スガハラがつくりあげた、その関係性。
江良さんとの会話から、スガハラのガラスにどこか感じる優しさの秘密がちょっぴり解けた気がしました。
■「作りたい」を支える 縁の下の力持ち
敷地内にある古い機械が並んだ作業場で、型や道具などを製作する外崎さん。
職人さんたちの「作りたい!」をその場でカタチにする縁の下の力持ちです。
職人さんたちの自由な発想を実現するために、その要望を聞きながら型や道具を作り、微調整を重ねながら仕上げていくのだといいます。
「もうね、みんな無理難題持ってくるの。ミッションインポッシブルだよ!」
とおっしゃる外崎さんはどこか楽しそう。
平面を立体に。
職人さんたちとの二人三脚によって、ミッションをポシブルにする大切な役目を担っていらっしゃいます。
スガハラのガラスが、涼しげながらもどこか温かみを帯びた空気を纏うその理由。
そこにはきっと、たくさんの人の想いや姿勢が映り込んでいるから。
手にした瞬間、ふふっと顔がほころんでしまうようなスガハラのガラス。
海のある小さな町から届く、そのぬくもりをぜひ感じていただきたい手仕事です。
連載最後となる明日は、手作りガラス体験記をおおくりします!
= 今日の書き手・宮城 =
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