2019年9月21日(土)~9月22日(日)に、第4回目となる【angersの小さなうつわ市】を、東京・中目黒にて開催することになりました。
今回は、『にほんの丁寧なものづくり』をテーマに、うつわやドライフラワー、その他クラフトアイテムなど、作家さんのアイテムを中心に取り揃えています。
イベントの詳細はこちら。
「angersの小さなうつわ市 vol.4」を開催します!
本日はその中から、加藤あゐさんのうつわをご紹介します。
瀬戸焼で有名な、愛知県瀬戸市生まれの加藤さん。
もともと美術や文学が好きで、芸術大学へ進学。20代前半は現代美術作家さんのアシスタント等をされていました。陶芸は幼いころから身近にあったそうですが、興味を持ち始めたのは、大人になってから。
陶芸の道へ進むことになったきかっけは、友人に誘われた陶芸教室なんだそう。
「子供のころに何度も陶芸(粘土遊び)はしたことがあったけれど、久しぶりに触れた粘土が初めて出会ったかのように自由で楽しく感じ、自分のなかで何か広がっていく感じがしたんです。」と話す加藤さん。
陶芸にのめり込み、半年後には生まれ故郷の愛知県瀬戸市に戻り、窯業学校へ入学を決めたそうです。そしてその後に、埼玉県飯能市にて制作をスタート、2006年に工房を構えられました。
遠回りしてたどり着いた、今のかたち
最初は白磁のシンプルな表現を求め磁器のうつわを作られていましたが、だんだんと土モノのうつわへ。
緻密さが求められる磁器のうつわをつくる中で、様々な土のテストをし、その過程のなかで土の質感が生きる土物に奥深さや美しさを見い出すようになり、だんだんと土モノのうつわへと移行していったそうです。
美術家アシスタントの後に、磁器のうつわ、そして土モノの陶器のうつわへ。色々な過程を経てたどり着いたのが、今の加藤さんのうつわのかたち。2013年頃から土モノの制作が中心になり、今のかたちに繋がってきたそうです。
大切にしているのは、柔らかなライン
うつわだけでなく、花器や蓋物なども作られる加藤さん。作る工程は、ろくろや、たたら作り、型成形など、様々。
型成形のうつわは、ロクロやたたら成形ではできないかたちに魅力を感じ、最近よく作られているそう。うつわの柔らかなラインを大切に、意識して作られているそうです。
土を感じられるものが好き
黒結晶釉は、錆のような表情を持つ釉薬。
焼成温度の上昇と下降をゆっくりさせることで、釉薬を結晶化させ、とくに冷却をゆっくりゆっくり行うことで、錆のような独特な表情を作り出しています。
また、釉薬は刷毛で塗ることで、厚みに変化を出し、厚い部分は金色を帯びた発色に。アンティークや古道具のような雰囲気を感じさせます。
その独特な表情からは、釉薬の下の土をしっかりと感じられます。加藤さん自身、土の表情が感じられるものがお好きで、土の質感を生かすことを大切にされています。
今回はご紹介させていただいた、黒結晶釉のうつわの他、新作のアイボリーの釉薬のうつわをご用意いただきました。中目の土を使用し、半光沢釉を施したうつわです。
今回のコラムでお見せすることができないのですが、当日ご紹介できるのを楽しみにしています。
※写真一番右の木瓜皿は、かたちのイメージです。