宮田竜司(みやたりゅうじ)さんのうつわと再会したのは、今年5月の益子の陶器市。
陶器市エリアの端っこでバスを降りて、いつもとは異なるルートでまわってみようと思った時でした。
思えば2016年の秋の陶器市でも見たことのあるうつわ。
その時は私にとってどこか遠く感じたそのうつわが、5月のその時には「ちょうどいいかも」と思えたんです。
うつわとの出会いにも、きっとある気がする「タイミング」。
9月21日(木)と29日(金)と2週間に分けて公開されるアンジェの「あきいろ作家市」から、今日は、少し背伸びをして使いたい宮田竜司さんのうつわについてご紹介しますね。
■ 宮田竜司さんのこと
宮田竜司さんは気さくなお兄さん。
もともともの作りが好きだったというものの、焼きものを選んだきっかけはお父さまだったといいます。焼きもの好きなお父さまは、著名な作家さんを追いかけて東京から埼玉へ引越しをしてしまうほど。そんなお父さまのそばで様々な焼きものを見ながら育った宮田さんも、様々な産地をまわり最終的に今の拠点、栃木県益子町に拠点を構えたのだそうです。
大きなお庭のある宮田さんのご自宅兼作業場。お庭にはご自身で作られた香炉が。
「年上の方に遊んでもらっていて・・・」
茶道をたしなんでいるという宮田さん。ご自宅の本棚にはたくさんの茶道の本も。
本棚の上にはアボカドの種。芽はきちんと出るそうですよ。
しとしとと雨が降る中お邪魔したのは、大きなお庭のある宮田さんのご自宅兼作業場。
豊かな自然環境の中に建つ宮田さんの作業場で、今回お願いしたうつわの制作風景を見せていただきました。
どこか凛とした雰囲気を持つ宮田さんの作業場。その理由は竜の絵かも?
お名前からとった竜の絵は、上はお客さまからいただいたもので、下はなんとご本人が描いたもの。
地元の原料を使うようにしているという宮田さん。
作り出すうつわたちの土には益子の陶土をベースに磁器土を混ぜたものを使い、釉薬は益子の伝統釉である「並白(なみじろ)※白に見えるもの」「灰釉※緑色に見えるもの」「飴釉※こげ茶に見えるもの」を使っているといいます。
宮田さんが作るうつわにどこか品が纏うのは、宮田さんが仕上げに緊張感を持たせたくて手で作業を行うようにしているから。
宮田さん
「もちろんロクロをまわした後に型にはめて成形することもしますが、特にこの花の形のうつわは型にはめて削るようなやり方では均一になって面白くなくなってしまうんです。形に勢いがつくので、どんなうつわも最後はなるべく手で仕上げてうつわに緊張感を持たせるようにしているんですよ。」
ロクロで成形した後に、赤い筆で花びらとなる「あたり」をつけて。
型にはめて削るのではなく、フリーハンドで花びらを形作る宮田さん。その道具は陶芸用のものではなく、自分で作ることも多いのだとか。
使っていて馴染むようなうつわもいいけれど、使いながらも程よい緊張感を持てるうつわもまたいいもの。
そのタイミングが来た時に、まるでパートナーを選ぶような感覚で手に取りたい、背伸び気分で付き合える宮田竜司さんのうつわです。
= 文・写真:宮城 =