どこか遠くを見ながら、何かを考えているような。何も考えていないような。
木の枝や電線にとまっている、そんなどこにでもいるハトに魅せられて、今日も生まれる大塚菜緒子(おおつかなおこ)さんのトリの置き物。
今日は、そんなぽってりと可愛らしいフォルムをしたトリの置き物を作られる益子の陶芸作家・大塚菜緒子さんにお話を伺ってきました。
■ ハトが巣ごもりする 大塚さんの家の庭
もともと絵を描くことやものを作ることが好きだったという大塚さん。大学で出会った先生に導かれるかのように始めた陶芸に夢中になり、茨城のご実家にほど近い笠間や栃木県の益子で焼き物の仕事ができればと漠然と思っていたとおっしゃいます。
そんな時に出会ったのが益子の窯元の2代目でもあるご主人。今はふたりで、義理のお父さまがやってきたことを受け継ぎながら、益子を拠点に新しいうつわの形に挑戦する毎日です。
ハトがとまる、大塚さんのご自宅の木。
山も近く、自然が豊かな益子での生活。鳥も多く、大塚さんのご自宅の玄関前にある槐(エンジュ)の木には、2-3年前からなんとハトが巣を作ってこもるようになったといいます。
つがいになったり、微妙な距離感を置いてみたり、庭で繰り広げられるハト模様はまるで人間みたい。
「手で作るのに意味があると思って・・・」
益子の昔ながらの土である並土の重さだけを最初に量って、あとはひとつひとつ手びねりで作られている大塚さんのトリの置き物。
その釉薬も、ご自身でブレンドしたり、かけ方に工夫をして、大塚さん家に集まるハトたちのそのぽってりとしたフォルムに合うように調整しています。
瑠璃色は学生時代に初めて作った釉薬。陶芸の世界を教えてくれた先生にも「いい色だね」と褒められた色なんだそう。
観察しているうちに見つけたハトたちの人間らしさを、手びねりだからこそ表現できるその表情の変化にのせて。窓から見える益子の風景が投影された大塚さんのトリの置き物です。
= 写真:大塚さんご提供・中島 文:宮城 =
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