お邪魔するなり、ご挨拶もそこそこに
「近所の美味しい粟餅を召し上がっていただきたくて買いに行こうと思っていたのですが、思いがけず皆さん来るの早くて用意できませんでした。むはは。」
なんておっしゃる松尾直樹(まつおなおき)さんはなんだかチャーミングで憎めない作家さん。
そのインスタグラムには松尾さんのうつわに盛られた奥さまの料理の写真が並び、「#なんでもできる嫁」「#最高」なんていうハッシュタグが付けられていて、その愛妻家ぶりになんだかこちらまで微笑ましくなってしまいます。
松尾さんのインスタグラムから。ある日の遅めのお昼ごはんは特製ボロネーゼ。
こちらも松尾さんのインスタグラムから拝借したある日のおやつ。奥さまお手製ガトーショコラがとっても美味しそう!
■ 松尾さんの輪花のうつわ
そんな松尾さんが創りだすのは輪花のうつわ。昔から伝わる、花びらが重なり合うような女性らしい「輪花」のデザインも、松尾さんによってモノトーンにまとめられてずいぶんとスタイリッシュな雰囲気に仕上がります。
伝統的でもある輪花の形も、やってみると自分なりの楽しさがあるという松尾さん。その「自分らしさ」を出せるような気がするという、型作りの作業が1番好きなんだそうです。
まるでキノコの森みたい!作業場には素焼きで作られた型が並びます。
きめの細やかな京都の土を「たたら」と呼ばれる板状にして、型にのせていく松尾さんのうつわづくり。ふきんでまとめた砂で上から丹念に叩くことによって、型の形が写しとられていくだけでなく焼いた時の歪みも少なくなるのだといいます。
「高さのあるうつわは外面が目に入りやすいから、こうしてしっかり線を入れてあげたほうがきっとお客さまにも喜んでもらえますよね。」
そうつぶやきながら、松尾さんの手作業によってうつわの外面にひと筋ひと筋入れられていく花びらのライン。こうして手間ひまかかった松尾さんの花びらのうつわが出来上がります。
「うつわは使うもの。主役は料理だということを忘れずにいたい。」
そうおっしゃる松尾さんのうつわは、和にも洋にも、そして男性にも女性にも使っていただけるうつわです。
たぶん今頃奥さまお手製ごはんをのせて。
今宵やっぱり、料理が主役の松尾家です。
■ おまけ
松尾さんおすすめの粟餅、しっかり取材後にいただいてきました!
= 文・写真 宮城 =
【アンジェの陶器市はこちらから。お散歩気分でどうぞいらっしゃいませ。】