広大な農場の前で大らかに笑う、代表の井村さん。
冬だというのに海からの暖かな風が吹きぬける12月のある日、ぬか漬けキット「わたしのぬか床」を作られているオーガニックファーム・金沢大地さん(石川県・金沢市)の農場へお邪魔してきました。
代表の井村辰二郎(いむらしんじろう)さんが運営する「金沢大地」は、千年産業を目指して有機栽培を行うオーガニックファーム。今では金沢と能登をあわせて180haともなる広大な農地を舞台に、環境保全に配慮した持続可能性のある農業を足元からひとつひとつ積み重ねておられます。
■ 金沢の大きな空のもと 「金沢大地」の農場へ
「井村が有機栽培を始めたいと言った時、先代や農家仲間からは反対されたそうです。」
広大な敷地を車で移動中に、ふとそうつぶやくのは営業の大橋さん。金沢大地の信念に共感し、関西から金沢へ移住してきた女性です。
通常の農業に比べ、有機栽培の収穫量は8割ほど。食べていけなくなることを心配した農家仲間が反対する中、代表の井村さんはそれならその分広く耕せばよいと譲らなかったといいます。
代表の井村さんはおっしゃいます。
「化学肥料で土の力を奪い、土壌や水質を汚染する。除草剤や殺虫剤などの農薬で周辺の生態系を壊す。環境保全どころか、これでは自然破壊です。環境に負荷を与える農業から、保全する産業へ。そのひとつの答えとして有機農業がありました。」
そうして今ここに広がる広大な農場。
これからの季節には白鳥が100羽ほども飛んでくるという、豊かな大地が広がります。
「金沢大地」の有機農場も取得している日本国内の有機規格「有機JAS認証」は原則化学合成された農薬の使用が禁止されていますが、実は天然系農薬やフェロモン剤など一部使用可能な農薬があることも。それに対して「金沢大地」の有機農場ではいかなる農薬および化学肥料も一切使用しないという姿勢を貫き、手間ひまかけて育ててきたこれらの農場で様々なことを試しながら、有機栽培の中でもより厳格な基準をもって環境負荷の小さい農業を実践されています。
人間と自然の関わりが、いつの日も健やかであるように。
そんな願いが込められた、金沢の大地です。
耕してきた農場を眺めながら、あるべき農業についてとつとつと語る大橋さんです。
■ 「わたしのぬか床」をつくる場所
「熟成具合はぬか床が教えてくれるんです。」
そう微笑むのは、金沢大地のぬか漬けキット「わたしのぬか床」を仕込んでいる前河さん。毎シーズン250もの樽にぬか床を仕込み、ひとつ50kgほどもある樽の天地を週3回の頻度でひっくり返しながら、有機野菜で捨て漬けを行います。
熟成を終えたらひと樽ひと樽を自分の舌で味見。納得のいくものしか出荷しないというこだわりぶりです。
熟成を待つ樽にはハート印とともに書かれた「ありがとう」の文字。
チャーミングな前河さんによる、ぬか床が美味しく熟成するためのおまじないです。
■ ぬか漬けキット「わたしのぬか床」が発売になりました。
どなたでもすぐにはじめられる、金沢大地のぬか漬けキット「わたしのぬか床」が発売されています。
有機米を精米した時に出る米ぬかと奥能登の海水塩、北海道産の昆布、島根県産の有機唐辛子という厳選された材料だけで作られている「わたしのぬか床」。有機野菜のみを使って捨て漬け工程もあらかじめ施されているので、買ったその日に野菜を漬けられるのが嬉しいところ。また大きな樽を使ってぬか床を熟成させているので、小さな容器で作る自家製のぬか床ではなかなか出ない深い味わいを最初からお楽しみいただけます。
マンション暮らしにも、冷蔵庫活用にも、今の暮らしにフィットする、金沢大地の「わたしのぬか床」。代表の井村さんもご自身で市販の乳酸菌飲料を加えてみたりと、いつもの暮らしの中でいろいろ楽しんでいるご様子です。気負わないこんなぬか漬けキットで、皆さまにもぜひ自分なりのぬか床スタイルを楽しんでいただければと思います。
= 文・写真:宮城 =
【紹介したアイテム】
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わたしのぬか床
・
たしぬか