「九谷焼が多くの方々にとって身近なうつわであるように」
そんな想いと一緒に、石川の青郊窯さんから伝統と遊び心が融合した新しいタイプの九谷焼が届きました。
■ 特殊技法で可能になった 親しみやすい「九谷焼」
江戸時代から一枚一枚丁寧に手で描かれてきた九谷焼が持つその奥深い優雅な表現を、もっとたくさんの方に知っていただきたいと常々考えていた青郊窯の北野啓太さんと智己さんのご兄弟。
社長である兄の啓太さん(写真右)は商品のデザインやディレクションを、専務である弟の智己さん(写真左)は生産管理や営業といったように業務を分担し、大正初期から続く家業を担っていらっしゃいます。
お二人は、研究を重ねて、まるで手描きのような風合いを表現した九谷柄の転写シールを開発。
熟練した職人さんたちの手の感覚を大切にしながらその特別なシールをひとつひとつうつわの表面に貼り合わせることによって、いわゆる「鑑賞品」であった九谷焼の優美さをそのままに、私たちの毎日がちょっと楽しくなるような「身近なうつわ」を作ることに挑戦されています。
こちらは完成形の転写シール。
よく見ると凸凹と立体感があります。
焼く際の絵具の伸び具合を計算に入れつつ、手描きの際の絵具の重なりを巧妙に表現しているんだそうです。
■ 独自開発で重ねた 色へのこだわり
私たちが青郊窯さんの金沢の工房へお邪魔した際に驚いたのは、その色へのこだわり。
食品衛生法の改訂によって有鉛絵具が使えなくなり、独自で無鉛の和絵具を開発されているとおっしゃいます。
鉛を使わずにきれいな色を出すのは大変なこと。
大量に貯蔵されている各色の絵具から調合を繰り返し、微調整を加え・・・と、九谷焼を表現するあの華やかな色彩の裏側には大変な苦労があるご様子です。
CADで転写シールの色の層を決める際にもそのこだわりが。
例えば同じ緑は緑でも、青郊窯さんでは2色の緑で表現します。
これによって手で描いた時のような絵具の付き方を再現でき、色に深みのあるうつわが出来るのだそうです。
■ ■ ■ ■ ■
青郊窯さんの豆皿を日常使いすることによって、ぐぐっと身近になる九谷焼の世界。
骨董市を覗いたら「これは古九谷かしらん」なんて新しいアンテナがピピッと働いたりなんかして。
最後に、青郊窯さんからお客様へのメッセージをお預かりしました。
【青郊窯さん】
優美で色鮮やかな九谷焼を皆さまにお手頃な形でお届けすることを目指して私たちは九谷焼を創り続けております。
手に取っていただいた私たちのうつわをきっかけに、九谷焼を身近に感じていただき、360年の歴史を誇る九谷焼の世界に興味を持っていただけたら幸いです。
食卓で気軽に使っていただきたい加賀百万石の雅なうつわ。
九谷焼の品をそのまま残した、とても使いやすいひと品です。
手のひらにのる伝統にちょっぴり想いを馳せて、いつもの食卓も楽しんでいただけたらと思います。
= 今日の書き手・宮城 =
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