アンジェでも人気のある九谷青窯の作家さんのおひとり、葛西国太郎さんが独立されたと聞いたのは数か月前。
九谷青窯のある石川から古都・京都に移り住まれたということで、新緑のまぶしい5月のある日、葛西さんの新しい作業場までお邪魔ついでにお願いゴトまでしてきました。
新しい作業場は、禅寺としても有名な大本山妙心寺のお膝元。
なんだか清々しい葛西さんのお人柄が、ちょっぴりうかがえるような立地です。
■ 葛西国太郎さんと九谷青窯のこと
新しい板張りの壁がどこか素っ気ない長屋造りの作業場に、ほっこり温かみを感じたのはきっと葛西さんが淹れたてのコーヒーをご自身のうつわでもてなしてくれたから。
もともとは、アンジェでも人気のある石川県の九谷青窯にいらっしゃった葛西さん。
主宰の秦さんのもとで若い人たちが集まり学びながら、独立を目指すスタイルを貫く窯元さんです。
その九谷青窯に入った当初から、葛西さんは独立を念頭においてじっくり力をつけてこられたといいます。
葛西さん
「九谷青窯は独立する人を応援してくれる。
今でも主催の秦さんのことは尊敬してるし、感謝もしています。」
そう話す葛西さんは、懐かしそうでいて、そしてどこか少し寂しげです。
■ 葛西国太郎さんのうつわの新しいカタチ「 HANI (ハニ)」
葛西さん
「 HANI は『 土 』という意味なんですよ。」
ようやく整ってきたという作業場で、清々しくしっかりとした口調でおっしゃる葛西さん。
独立後の活動名「HANI(ハニ)」は、埴輪(ハニワ)など、古来から日本で土を意味するコトバなんだそうです。
うつわを土からその手でつくるように、今、葛西さんは京都という土地で少しずつご自身の新しいカタチ「 HANI 」をつくっているところ。
京都は馴染みのある場所とはいえ、「独立」は何もかもが手探りのことばかり。
こまごまとしたことにどんどんと手間を取られて、その名前を決めるだけでもかなりの時間がかかったとおっしゃいます。
葛西さん
「今は土も釉薬も九谷青窯のものを使わなくてもいいから、自由すぎて当初は逆に戸惑ってしまったんです。
でもだんだんと自分らしくなってきましたよ。」
自由との狭間でちょっぴり悩まし気にそうおっしゃる傍らには、釉薬を試したと思われるたくさんのチップが。
少しずつ、少しずつ、誰に言われることなく日々積み重ねてきたものが、今、目の前の葛西さんをしっかりと裏打ちしているご様子です。
そんな葛西さんに、今後はどんなうつわを作っていきたいか、そしてそれをお客様にどう使っていただきたいか聞いてみました。
葛西さん
「使うと陽気に、そして楽しくなるような、気さくなうつわを作りたいと思っています。
そして、それをどんどん使って沢山ごはんを食べてほしいです。
何でも盛り付けて、食卓でどう見えるのかを使う方に発見してもらえたら望外のよろこび。
使う方の人生の明るい側面が大きくなることが僕の願いです。」
ふと葛西さんがつぶやいた「余計なものを作っていくことが大事。」というひとつのコトバ。
ひょっとしたらば、自由になった今だからこそご自身に言い聞かせたいコトなのかもしれません。
葛西さんと「 HANI 」の旅は今始まったばかり。
遊び心で綴る「余計なもの」と、そこから紡ぎだされる「 HANI 」の朗らかな新しい世界を、アンジェも今から楽しみにしています。
■ ■ ■ ■ ■
この時に葛西さんにお願いをした箸置きの予約が始まっています。
そこに在るだけで食卓が華やぐ素敵な箸置き。
和食器にも洋食器にもぜひ合わせていただきたいアイテムです。
= 今日の書き手・宮城 =
【葛西国太郎さんの箸置き 予約ページ】
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葛西国太郎 色絵 箸置き 5個セット 箱入り
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葛西国太郎 色絵 箸置き 単品
【葛西国太郎さんの他の作品】
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九谷青窯 葛西国太郎 白化粧つる花 角丸皿小